築25年で不動産価値がゼロになる?
不動産の資産価値に関して、いろいろなことが言われています。その中の一つに、築20~25年になると不動産価値がなくなるというものがあります。
これは具体的に言うと、建物の価値がゼロになってしまうという意味合いがあります。実は一般的に建物の資産価値を評価するにあたって、
が採用されています。
この計算に基づくと、築10年で建物の価値は半減し、20年後には資産価値がほぼゼロになってしまいます。また日本の税法でも築22年で価値は新築時の1割になると決められています。このようなルールがあって、不動産の資産価値は築25年も経過すればゼロになってしまうと言われるわけです。
築25年以上の物件は土地の価格でしか売れない?
では築25年以上の物件を売りに出すとき、建物の価値がないので土地の価格でしか売れないかというと決してそうではありません。よく建物の価値がゼロで土地の価格だけにすることを業界では土地値といいます。しかし土地値で売り出そうとする不動産会社はあまり多くないはずです。
皆さんが不動産を売るにあたって、「あなたの住宅は築25年以上ですよね?これでは建物の価値はゼロなので土地代金だけで売りましょう」と言われたらどう思いますか?
少なくてもいい気分はならないでしょう。売主が機嫌を損ねて、「お宅からウチの大事な家は売らない!」といわれてしまっても仕方ないです。
不動産会社も商売をしていますから、たとえ建物の評価額がゼロだったとしても多少色を付けて売り出し価格を決めるはずです。不動産価値のない建物だったとしても、思い出や思い入れのたくさんある物件だろうからということで、200~300万円くらいの付加価値を付けて売り出すことが多いです。
また築25年の建物がすべて同じ状態とは限りません。たとえば定期的にリフォームをしていて必要な補修をしているとか、耐震性がしっかりしている物件、好立地に建築されている住宅であれば、築25年をオーバーしていてもそれなりの評価額のつく可能性があります。
物件に対する評価の変わってきている日本
日本はこれまで、スクラップ・アンド・ビルトの方式をとってきました。住宅を建築して、ある程度の築年数が経過したら壊してまた新しいものを建設するという方式です。だから築25年で資産価値がゼロになるという発想になるわけです。
しかし欧米の方では、築年数が経過した物件でも必要なリフォームをしてなるべく長く住み続けるという考え方があります。日本では中古住宅の流通量が不動産流通の全体の13%に対して、アメリカ78%・イギリス89%の割合で中古住宅を購入しています。マイホームは手入れをして長く住むという価値観が広く浸透しているからです。
実は日本でもこの欧米の考え方を取り入れようという動きが進んでいます。日本は木造住宅が多いため、資源の消費がこのままでは少なくならないからです。
2009年に不動産の価格査定マニュアルが改定されました。長期優良住宅で、定期的に補修をしている物件であれば築25年時点の資産価値を新築の35%程度にすると決められています。ですからこれからは必要なリフォームをしてメンテナンスをきちんと行っていれば、不動産価値のない物件と評価されないのが当たり前の時代になるかもしれません。